仏壇の扉

葬祭部の杉上です。

ご遺体を自宅で安置する場合、仏壇が有れば仏間に、無ければ座敷など畳のある部屋に安置します。その際、頭を北に向ける北枕にするのが一般的ですが、地域によっては住職が枕経をあげるまでは、頭を南に向けて安置する習慣が有ります。この習慣には「枕経までは病人さん」という考えが有り、枕経を終えることで「故人」になるとされ、そのタイミングで北に向きを変えます。

仏間にはお仏壇の他に神棚が有るお宅が多いと思いますが、神道では死はケガレと考えていることから「神棚封じ」と言って、半紙などの白い紙を貼って神棚を封じます。仏教には死をケガレとしてとらえる考え方はありません。仏教の基本的な考え方に基づくなら、仏壇の扉は開けておくのが本来の姿です。

葬儀後、ご自宅の仏間には四十九日の間お祀りするために後飾り段を組みます。後飾り段を中心に段の左右には式場から持って帰ってきた生花や灯籠などを並べますので、お仏壇の前に物がたくさん並んだり、御本尊とご先祖様に手が合わせにくくなります。ですので四十九日間はご先祖様に対して「しばらくの間、新しい仏様にかかりきりになりますので申し訳ございません」という意味で、あえて仏壇の扉を閉めておくという考え方も有ります。

地域によって風習や考え方が違うますので、悩む時は住職にお聞きするのが1番です。もしも親戚さんやご近所の人に仏壇の扉の開け閉めについて指摘されても「お寺さんから言われたから」と言えば、角が立ちませんよね。