天冠

葬祭部の杉上です。

最近はあまり見なくなりましたが、子供の頃にテレビやマンガで幽霊と言えば三角の白い布が額に付いていました。
この三角の白い布は天冠(てんかん、てんがん)と言って、死に装束の一部です。「経帷子(きょうかたびら)」と言われる白い着物を着て、手には手首をお守りする手甲(てこう)、脚にはすねをお守りする脚絆(きゃはん)を付けます。頭からは頭陀袋(ずだぶくろ)を下げ、その中には三途の川の渡し賃である六文銭(ろくもんせん)を入れます。
六文銭はもちろん紙に印刷されたものです。
天冠は本来は額に付けますが、表情が変わって見えてしまいますので、頭陀袋の中に一緒に入れて持って行ってもらいます。
この天冠は三角の白い布だけのことをさすわけではなくて、高貴な方がつける物とされていて、お雛様の頭に付いている冠も天冠と言いますし、能の装束のひとつにも天冠があります。
能の場合、高貴な役柄の人がかぶるものとして使用されたり、神様や天女などを表現するために使用されたりしているようです。そこから、亡くなった人を最後は高貴な姿で送ってあげたい、という昔の人の思いが込められているのかもしれません。
他にも、閻魔大王様に失礼にならないように冠を付けて正装する、という説も有ります。