ひとつのご縁

以前、葬儀のお手伝いをさせていただいた方のご両親は、終の棲家として丹波に住んでいらっしゃいました。

娘さんは私の母と変わらないお年の方で、大阪から通われていました。ご主人が定年退職をされ、これから夫婦二人で余生を楽しもうとした矢先に、ご両親の介護が始まり2年続けてご両親を亡くされました。葬儀が終わり、何度が訪問させていただいた時に、介護やご両親が造られた庭の話、京都に納骨へ行く話など、いろいろ話をするうちに少し仲良くなりました。

四十九日が終わり、後飾り段の片付けにお伺いすると帰り際に「お体に気を付けて、お仕事がんばってくださいね」と、お声をかけていただきました。嬉しい言葉ともう一つ「私は、もうこの地に来ることはないんです」と言われ、私は思いがけず泣いてしまいました。大阪に戻ったらという話は聞いていたのですが、この方とお会いするのが最後と思うと、すごく寂しい気持ちになり涙が抑えられませんでした。

そして、手を握って「ありがとうございます、いつまでもお元気で、お体大切にお過ごしくださいね」と言ってお別れをしました。葬儀をお手伝いをさせていただき、短い期間でしたが心通うお話が出来たことを嬉しく思います。

ご両親も夫婦で楽しく過ごされていることを願わずにはいられません。