息子へ

先日、施行させていただいたお宅のお話です。
息子様が亡くなり、お父様が喪主という悲しいお葬式でした。

私は納棺を担当させていただきました。
納棺の最後に「何か入れてあげたい物がありましたら、入れてあげて下さい」と声をかけると、故人様のお母様がビニールいっぱいの折り鶴を出してこられました。
これまでにも折り鶴を柩に納められる方は沢山いらっしゃいましたが、あれだけ多くの折り鶴を見たのは初めてでした。
一つ一つに、「ご飯を食べられるように」「少しでも痛みが和らぐように」と思いを込め折られたそうです。

気が付くと、喪主様の姿が見当たりません。
遺族の皆様が鶴を柩へ収めていると喪主様が封筒に入ったお手紙を持って登場しました。
そして、そのお手紙を布団の中に隠すように収められました。
「シャイだから隠しておく」と喪主様。女性のように感情を表に出して話しかけるのが少し恥ずかしかったのかもしれません。
言葉に出さなくても、喪主様の想いはきちんと届いているだろうな感じました。