声の記憶

葬祭部の義積です。先日カメラを持って梅の撮影に出かけました。ほのかな梅の香りと、穏やかな日差しを浴びて春を満喫できました。

私が先日担当したごご葬儀での故人様が、カラオケ好きでした。故人様がカラオケをされている動画をお孫様がお持ちで、お花入れの時間に故人様の歌声を流し参列者に故人様を偲んでいただきました。写真を見ると、生前のお姿は分かりますが、声やしぐさは写真からは伝わりません。今は携帯電話ですぐに動画を撮ることができて本当に便利な世の中になりました。

私の母は16年前に亡くなりました。母の声は、なんとなく覚えていますが段々記憶が薄れてきました。母が亡くなった当時は携帯電話を持っていましたが、まだガラケーの時代で動画を撮れたか分からないのですが、今から思うと何かしらの形で残しておけば良かったと思います。

母の葬儀の後に母の友人がお参りに来てくださいました。そして1本のカセットテープを持ってこられました。そこには、友人のお母さまのお見舞いに母と二人で行った時の会話が録音されていました。急いでカセットデッキを準備して再生ボタンを押すと、生前の母の元気な声が小さなカセットデッキから流れてきます。(そうそう、これこれ。これはまさしく母の声。)2分程度のものですが、会いたくて仕方がない私にとって母に出会えた気がして涙があふれました。母の友人が私に聞かせたかったと持ってきてくれたのです。

そのテープには、母の友人の亡くなったお母様の声が入っている大切なものなのでしたので、譲りうけることはできなかったのですが、今から思うとダビングさせてもらったら良かったと思います。

4月に入ると母の17回忌を迎えます。兄と二人で手を合わせ、母の思い出話をたくさんしようと思います。